皆様は「大工の手刻み」って知っていますか?
木の家を建てる際の柱や梁などの木材。
木材の端や中間には、木材同士が組み合わさるよう「継手(つぎて)」「仕口(しぐち)」と呼ばれる凹凸の加工が施されます。
昨今の木の家づくりの現場では、これらの木材加工を工場で行う「プレカット」が主流となっています。
プレカットでは機械を使って加工するため、たくさんの木材を短時間で均一に加工できるようになりました。
対して、大工が手仕事で一つひとつの木材を加工していく伝統的な技法を「手刻み」と呼びます。
木族の家でも、通常はプレカットで木材を加工しています。
手刻みを実際に行うのは、現在ではとても貴重な機会なのです。
さて、そんな手刻みを先日、木族の家ワークショップで行いました。
社員大工育成の一環として、親方大工指導のもと若手社員大工が実際に建築現場で使う木材を、手刻みで加工しました。
今回造ったのは、お施主様邸に増築するスキップフロアの骨組みとなる部分です。
若手大工が真剣に取り組み、柱や梁が形づくられていきます。
木材加工ができたら、次は組み立て。
まるでパズルが組み合わさるように、釘を使うことなく柱や梁が合わさっていきます。
「いつもは機械でやることだけれど、実際に手を動かして作業することが、道具の使い方やプレカットの木材の扱い方にも活きてくる」と、親方の大宇根大工。
木材と木材の凹凸がかみ合い、続々と組みあがっていく様子は圧巻でした。
完成!作業の安全性を確保するため、土台部分には簡易的な筋交いを取り付けています。
今回の手刻みには、今年の4月に入社した社員大工も参加しました。
「学校でも似たようなことはやったけど、スピードも正確さも、レベルが違う。すごく勉強になりました。加工した木材は、家が完成すると見えなくなってしまう部分が多いけれど、そういうところも正確に造り、良いものが造れるようになっていきたい」と話してくれました。
親方大工が造る木材の接合部分は、隙間なくベストな具合ではまっていくそうですよ。
実際に現場で組み立てる際は、固定用の木材の飛び出し部分は最終的にカットします。
木族の家では2019年より社員大工制度を導入。
高齢化が進む大工の技術を次世代に受け継ぎ、住み手が安心して暮らせる家づくりを将来にわたって提供していくため、若手大工の育成に力を入れています。
現在は3名の社員大工が、熟練の技術を持つ親方大工のもと、日々学びと経験を重ねています。
木族の家公式インスタグラムでは、今回の手刻みを動画でご覧いただけます!ぜひ一度ご覧ください。